【立体効果】透明アクリルの世界地図をつくる【図表デザイン】
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【Photoshop講座】図表デザインには、地図、概念図、グラフなど、言葉では説明しにくいことを、より伝わりやすくする役割があります。大まかな絵づくりは、アブストラクトなどの背景イメージを利用し、その背景を活かしながらオブジェクトを透明にすれば、クリーンで堅実な印象がスピーディーに作り出せます。どんな形状のオブジェクトにも使える、奥行きを生み出す立体効果をご紹介しましょう。
難しい反射光をフィルターで作成する!
透明アクリルやガラスなどの平面的な光沢を表現するには、明るい反射光を斜めに横切らせて取り入れる技法がポピュラーです。もちろん、これは創作上の効果であって、実際の反射光ではありません。作り物は所詮「ニセモノ」。反射光を本物らしく描くことは難しいものです。[ラップ]は、画像の明度によって、ラップで包んだような効果が出せるフィルターです。反射光もエッジの光沢もカンタンに作り出すことができます。

[Photoshop]操作パネル
[ファイル]メニューから[配置]を選びます。[配置]ダイアログで、配置する画像ファイルを選択して、[配置]をクリックします。

[配置]ダイアログ
[PDFを配置]ダイアログで、[OK]をクリックします。

[PDFを配置]ダイアログ
enterキーを押して、変形を確定します。
配置された画像を変形する場合は、バウンディングボックスのハンドルをドラッグします。

画像を配置

変形を確定

[レイヤー]パネル
[レイヤー]パネルで、世界地図のレイヤーサムネールをcommand〔Ctrl〕キーを押しながらクリックして、選択範囲を作成します。

ドキュメント
すると、オブジェクトの形状から選択範囲が作成されます。

[レイヤー]パネル
[レイヤーマスクを追加]をクリックして、選択範囲のレイヤーマスクを作成します。レイヤーマスクサムネールをoption〔Alt〕キーを押しながらクリックして、ドキュメントウィンドウをレイヤーマスク編集モードに切り替えます。

ドキュメント(レイヤーマスク編集モード)
ドキュメントウィンドウが、レイヤーマスク編集モードに切り替わったことを確認してください。
レイヤーマスク編集モードに切り替わらない場合は、レイヤーマスクを選択してから、option〔Alt〕+クリックを試してください。レイヤーマスク編集モードと通常の編集モードの切り替えは、まったく同じ操作で行います。
COLUMN
作業用としてレイヤーマスクを利用する!
世界地図の選択範囲からレイヤーマスクを作成しましたが、これには直接的な意味はなく、付属するレイヤーマスクを「作業用画像」として利用するために作成しました。変則的な「ウラ技」ですね。対象となる作業用画像は、透明ピクセルを持たないグレースケール画像で、たとえば、アルファチャンネルでもいいし、背景画像でもいいし、ブラックで塗りつぶしたレイヤーでもいいです。
アクリルのベースを作成する
[フィルター]メニューから[フィルターギャラリー]を選びます。[フィルターギャラリー]操作パネルで、[アーティステック]→[ラップ]、バージョンCS5以前では、[フィルター]メニューから[アーティスティック]→[ラップ]を選択します。

[フィルターギャラリー]操作パネル

[ラップ]ダイアログ(部分)
[ラップ]ダイアログで、[ハイライトの強さ]に「15」、[ディテール]に「12」、[滑らかさ]に「7」を設定して、[OK]をクリックします。
[ラップ]フィルターの設定値は、[ハイライトの強さ]で画像の中央に放射状の明るい部分(白地では暗い部分)をつくります。[ディテール]で階調の境界に立体的な段差の効果をつけ、[滑らかさ]で段差の効果を固くしたり柔らかくしたりします。

ドキュメント(レイヤーマスク編集モード)
[ラップ]フィルターが適用されました。
COLUMN
[ラップ]フィルターのクセモノ!
[ラップ]フィルターの設定値をいくら変更しても、思い通りの効果がつくり出せない場合があります。それは[ハイライトの強さ]で作成される明るい部分の大きさが、適用する画像サイズ(選択範囲)の幅、または高さの短い側に合わせて決められているためで、そのような設定値による操作の及ばない部分が存在するからなのです。極端に細長い画像(選択範囲)などでは、効果が適用されない部分が多くなるので注意が必要です。

[フェード]ダイアログ
[編集]メニューから[「フィルターギャラリー」をフェード]、バージョンCS5以前では、[「ラップ」をフェード]を選択し、[描画モード]に[差の絶対値]を設定して、[OK]をクリックします。

ドキュメント(レイヤーマスク編集モード)
[ラップ]フィルターの効果が[差の絶対値]でフェードされました。
COLUMN
フェードとは?
フィルターやペイントツール、色調補正などの効果を適用後にフェードイン、フェードアウトするコマンドで、0~100%の不透明度と各種描画モードが設定できます。活用方法はさまざま。直前に行った効果の「強弱」を調整できる機能…と憶えておくとよいでしょう。

[レイヤー]パネル
[レイヤー]パネルで、世界地図のレイヤーサムネールをcommand〔Ctrl〕キーを押しながらクリックして、選択範囲を作成します。
この操作は、レイヤーマスクサムネールが選択された状態で行います。レイヤーサムネールをクリックすると、通常の編集モードに切り替わってしまうので注意してください。

ドキュメント(レイヤーマスク編集モード)
選択範囲が作成できたら、command〔Ctrl〕+Cキーを押してコピーします。

[レイヤー]パネル
世界地図のレイヤーサムネールをクリックして、通常の編集モードに切り替えます。

ドキュメント
ドキュメントウィンドウが、通常の編集モードに切り替わったことを確認してください。

[レイヤー]パネル
色彩の統一で着色する
[レイヤー]パネルで、世界地図のレイヤーを非表示にし、[新規グループを作成]をoption〔Alt〕キーを押しながらクリックします。
[新規グループ]ダイアログで、[名前]に「アクリルベース」を入力し、[描画モード]に[乗算]を設定して、[OK]をクリックします。
STEP2でコピーした世界地図をcommand〔Ctrl〕+Vキーを押してペーストします。すると、[アクリルベース]グループの中に[レイヤー 1]が作成されます。

[新規グループ]ダイアログ

世界地図をペースト

色彩の統一で着色

[レイヤー]パネル
[レイヤー]パネルで、[塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成]をクリックし、メニューから[色相・彩度]を選びます。

[色相・彩度]ダイアログ
[色相・彩度]ダイアログで、[色彩の統一]にチャックマークを入れて、[色相]に「210」、[彩度]に「25」、[明度]に「+25」を設定します。

[レイヤー]パネル
グループを複製する
[レイヤー]パネルで、[アクリルベース]グループの展開をたたみ、[新規レイヤーを作成]にドラッグして、複製を3つ作成します。
グループ名のテキストをダブルクリックして、上から「光沢」、「シャドウ」、「反射光」に変更します。

[レイヤー]パネル

[レイヤー]パネル

[レイヤー]パネル
グループ名が変更できたら、複製した3つのグループを非表示にしておきます。
複製したグループは、後の手順で使用します。グループ名は、それぞれの効果を表すもので、階層は必ず「光沢」、「シャドウ」、「反射光」、「アクリルベース」の順でなければなりません。

[選択範囲を縮小]ダイアログ
表面を透明にする
[レイヤー]パネルで、[アクリルベース]グループを展開し、[レイヤー 1]をcommand〔Ctrl〕キーを押しながらクリックし、世界地図の選択範囲を作成します。[選択範囲]メニューから[選択範囲を変更]→[縮小]を選び、[縮小量]に「5」pixelを設定し、[OK]をクリックします。
選択範囲が作成できたら、shift+command〔Ctrl〕+Iキーを押して、選択範囲を反転します。

選択範囲を作成

選択範囲を反転

[レイヤー]パネル
[レイヤーマスクを追加]をクリックして、[レイヤー 1]にレイヤーマスクを作成します。レイヤーマスクサムネールをダブルクリックして、[マスク]パネルを表示します。

[マスク]パネル
[マスク]パネルで、[濃度]に「25%」を設定します。
アクリルベースの不透明度は、この[濃度]で調整できます。

レイヤーマスクを作成

レイヤーマスクの[濃度]を調整

[レイヤー]パネル
反射光を表現する
[レイヤー]パネルで、[反射光]グループを表示して展開します。[反射光]グループを選択し、描画モードに[スクリーン]を設定します。[反射光]グループ内の[レイヤー 1]レイヤーサムネールをcommand〔Ctrl〕キーを押しながらクリックし、世界地図の選択範囲を作成します。

[選択範囲]メニューから[選択範囲を変更]→[縮小]を選び、[縮小量]に「5」pixelを設定し、[OK]をクリックします。
[反射光]グループ内の[レイヤー 1]を選択し、[レイヤーマスクを追加]をクリックします。[反射光]グループを選択し、[不透明度]に「50%」を設定します。

選択範囲を作成

[反射光]グループの[不透明度]を調整

[レイヤー]パネル
シャドウで立体的にする
[レイヤー]パネルで、[シャドウ]グループを表示して展開します。[シャドウ]グループ内の[レイヤー 1]を選択します。
[反射光]グループ内の[レイヤー 1]レイヤーマスクサムネールをcommand〔Ctrl〕キーを押しながらクリックし、世界地図の形状を5 pxel縮小した選択範囲を作成します。
deleteキーを押して、消去します。command〔Ctrl〕+Dキーを押して、選択を解除します。

選択範囲を作成

選択範囲を消去

[ぼかし(ガウス)]ダイアログ
[フィルター]メニューから[スマートフィルター用に変換]を選びます。[フィルター]メニューから[ぼかし]→[ぼかし(ガウス)]を選び、[半径]に「5」pixelを設定して、[OK]をクリックします。
[シャドウ]グループ内の[レイヤー 1]に[スマートフィルター用に変換]を適用しておくと、[ぼかし(ガウス)]ダイアログで再編集することが可能になります。
[ツール]パネルから[移動ツール]を選び、shift+→キー、shift+↓キーを押して、シャドウを10 pixelずつ移動します。

シャドウをぼかす

シャドウを移動

[レイヤー]パネル
シャドウの濃度は、[不透明度]で調整できます。

[レイヤー]パネル
エッジに光沢をつける
[レイヤー]パネルで、[光沢]グループを表示して展開します。[色相・彩度]を非表示にして、描画モードに[スクリーン]を設定します。[不透明度]に「75%」を設定します。
光沢の強さは、[不透明度]で調整できます。

透明アクリルの世界地図が完成しました。
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